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生物多様性・生態系再生FG 平成18年度授業案内
実 習 自然再生事業モニタリング実習
夏学期:1単位
担当教員鷲谷 いづみ
西廣 淳
概要
人間活動によって損なわれた生態系の健全性と生物多様性を取り戻す「自然再生」は、今世紀に取り組むべき最重要課題の一つとなっている。自然再生の取り組みを進める上では、市民、行政、研究者など多様な主体の協働が欠かせない。また生態系という複雑で挙動の予測が困難な対象を取り扱うため、順応的管理の手法で進めることが求められる。さらに、順応的管理を有効に進めるためには、管理に参加する主体間での情報の共有、それに基づく合意形成、科学的にも未解明な課題への理解を深めるための「学習」プロセスが重要である。すなわち、順応的管理とは、多様な主体が「為すことによって共に学ぶ」実践であるともいえる。
自然再生事業を進めている場所を対象とした多様な主体による「協働モニタリング」は、 生物多様性や生態系の現状や必要な管理についての認識を共有し、順応的管理を進める基礎をつくる上で有効であると考えられる。本実習では、霞ヶ浦で進められている湖岸植生帯の再生事業を舞台にした「市民・研究者協働による湖岸植生再生事業のモニタリング調査」(保全生態学研究室の主催により2004年から実施)を題材に、この新しい取り組みに参加しつつ、よりよい協働モニタリングのあり方について議論する。
スケジュール
2006年5月26日(金)ガイダンス
2006年6月 3日(土)協働モニタリング1日目(茨城県石岡市霞ヶ浦湖岸)
2006年6月10日(土)協働モニタリング2日目(茨城県石岡市霞ヶ浦湖岸)
2006年6月24日(土)協働モニタリングに関する討議
2006年7月31日(月)レポート提出締め切り
募集人数
10名(参加希望者が10人を超えた場合は動機などをお聞きして選考させていただきます)
連絡窓口
農学生命科学研究科保全生態学研究室
西廣 ajn@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
履修方法
※履修を希望する学生は、4月21日(金)までに学生サービスセンター内「大学院係」で履修登録すること。
演 習 生物多様性と農業
冬学期:1単位
担当教員鷲谷 いづみ
概要
経済性と効率のみの追求による農業形態の変化の中で、急速に不健全化を進めた農業生態系。 その中で、社会と生態系を再生し、自然と調和のとれた人間社会を築こうとする流れは、世界的潮流である。日本でもその萌芽が見られはじめている。2005年11月、ウガンダで開催された第9回ラムサール条約締結国会議において、世界有数のマガンの越冬地である宮城県「蕪栗沼・周辺水田」が条約登録湿地となった。「水田」を明確に湿地として位置づけ、保全対象としたのは、世界にも類をみない画期的事例である。また同年9月には、兵庫県豊岡市において、農業生態系の頂点に位置する「コウノトリ」が、野生復帰に向けて放鳥された。
これらの取り組みの中核を担うのが、生物多様性の保全と矛盾しない新しい農業システムの構築である。健全な生態系・人間社会の基盤構築にむけたこれらの取組みには、農家・行政・産業・研究者など、さまざまな主体の協働が不可欠である。各地の先進的な事例をご報告いただき、その後、学生を交えたディスカッションを行いたい。
スケジュール
アグリコクーン(ACT12)
「生物多様性と農業」
日時:11月25日(土)10:00〜18:00 場所:東京大学農学部 弥生講堂一条ホール
イントロダクション
  鷲谷いづみ/東京大学大学院農学生命科学研究科
基調講演
コウノトリとともに生きる 〜豊岡の挑戦〜
佐竹節夫/豊岡市コウノトリ共生部コウノトリ共生課長
各地で進む「人と自然の共生」に向けた取組み
ふゆみずたんぼ(宮城県・旧田尻町ほか)
呉地正行/日本雁を保護する会 会長
魚のゆりかご水田プロジェクト(滋賀県・琵琶湖)
田中茂穂/滋賀県 農林水産部
地域づくりとしての循環型農業(新潟県・旧笹神村)
石塚美津夫/ささかみ農業協同組合
「人と自然の共生を目指した農業」の農学的立場からの可能性
ふゆみずたんぼの農学的研究
伊藤豊彰/東北大学大学院農学研究科
水田生物の多様性を活かした有機稲作の可能性
稲葉光國/NPO法人民間稲作研究所 代表
生物多様性保全型農業を担う様々な主体
株式会社アレフの取組み
庄司昭夫/株式会社アレフ 代表取締役
生き物調査が世界を変える
原耕造/全農SR推進事務局長
パルシステムの産直活動
田崎愛知郎/パルシステム連合会
パネルディスカッション
◆対象
上記の授業は修士課程および博士課程の学生を対象にした農学生命科学研究科の共通科目です。研究科共通科目の単位は、研究科の規定により課程修了に必要な単位として加えることができますので、便覧等で条件を確認してください。
◆履修登録方法・登録受付日
履修を希望する学生は平成18年10月16日(月)〜10月20日(金)に学生サービスセンター内の大学院係で受講登録を行ってください。
募集人数
50名
連絡窓口
内容に関して:農学生命科学研究科 保全生態学研究室 菊池 
履修に関して:産学官民連携室 3号館1階105A office@agc.a.u-tokyo.ac.jp
関連講義 保全生態学総論(既設)
夏学期: 集中講義
担当教員 鷲谷 いづみ (生態学を基礎とした保全生態学)
小野寺 浩 (行政を基礎とした保全生態学)
鬼頭 秀一 (社会学、環境倫理学を基礎とした保全生態学)
(1)イントロダクションを兼ねたシンポジウム
アグリコクーンACT5
「自然再生がめざすもの」
日時:5月13日(土) 13:30〜17:00 場所:農学部1号館8番講義室
主催:東京大学21COE生物多様性・生態系再生研究拠点
財団法人 農学会
東京大学農学生命科学研究科
13:30〜13:40主催者のあいさつ(COE、農学会)
13:40〜14:10小野寺 浩(順応的管理グループ)「自然再生の理念と政策」
14:10〜14:50鬼頭 秀一(順応的管理グループ)「環境倫理と自然再生」
14:50〜15:20鷲谷 いづみ(拠点リーダー)「自然再生をめぐる世界の動き」
15:20〜15:50宮崎 毅(研究理念ワーキンググループ)「自然再生研究とは何か」
15:50〜16:10―休憩―
16:10〜17:00コメントと会場を交えた討議
司会:鷲谷 いづみ
コメンテーター:拠点サブリーダー(武内 和彦、宝月 岱造、西田 睦)
(2)集中講義(予定)
8月29日、30日 10:00〜 終日
関連講義 生物多様性科学特論
※冬学期に開講の予定でしたが、今年度は閉講します。平成19年度に開講の予定です。

●お問い合わせ

産学官民連携室/農学部3号館1F学生サービスセンター隣/ TEL 03-5841-8882/FAX 03-5841-8883 office@agc.a.u-tokyo.ac.jp